ぼくは大切な友達との想い出を、写真に残したい
僕が立ち止まった時。
必ず手を差し伸べてくれる、友達がいた。
大切なカメラで、彼らとの想い出を残したいと思った。
久々に集合して、はしゃいでいた僕らは
買い出しに時間を費やしすぎ、昼過ぎに到着の予定が、夕方になってしまった。
標高1400mmから眺める、山々の景色は寒さも時間すらも忘れてしまうほど綺麗な景色だった。
足早に沈む太陽が綺麗な空の色を描いていた。
幻想的な自然にはしゃぐ、友人。
夕日が沈み、寝床と食事の準備を始める。
手元を照らすのは、持ってきたランタンと焚き火。
聞こえるのは、話し声や調理の音。
そして普段の生活では聞くことのない、自然の音。
食事が済み、久々の酒の場。
高校の頃、毎日のように顔を合わせていた頃が戻ってきたかのように、くだらない話にわっと花が咲く。
大量のお酒を買ってきたのにも関わらず、21時の頃にはすっかり冷え切ってしまい、寝袋へ眠りについた。
眠りについている途中も、芯まで冷えてしまった体は深い眠りに入ることなく幾度となく目が覚めてしまう。
誰一人として、キャンプをしたことがなかったのにも関わらず、初めてのキャンプで夜中は氷点下になる場所を選んだ、自分たちをすこし悔やんだりもした。
けれど、無茶だと思わずに面白いと思ったことに突き進むあの頃を思い出した。
朝5時。
寒さが頂点に達して、目がさめる。
用を足しにテントの外へ出ると、今まで見たことのない光景が現れた。
自分の足元よりしたにある、雲の中から、力強い光を放つそれが
オレンジの空と駆け上がってきた。
僕は人生で初めて、雲海と言うものをみた。
この日は11月のはじめにも関わらず、年始の気分だ。
この朝日をみて、友達と会話し、前に前に
進もうと思った。
一眼レフカメラで想い出を残すことは、きっと誰にでもできることだ。
けど、今目の前にいる友人との想い出を写真に残すのは、そこにいる自分にしかできない。
写真は時間から唯一強奪できるもの。
否定するわけではないけれど、スマホなどのカメラ機能ではなくて。
写真を撮る、それだけのために作られた機械でシャッターを切ってほしい。
きっとその写真は振り返った時に、特別な何かになっているに違いないから。